ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、生体内で代謝的にCOを生成する唯一の酵素であり、内因性のCOの大部分は、HO反応によって生成される。しかしながらHOの機能制御機構については不明な点が多い。HOは、小胞体膜に局在している酵素であることから、特に非誘導型のHO-2の活性は小胞体関連分解(ERAD)によって制御されていると考えられる。我々は、HO-2がin vitroにおいて高度にユビキチン化されることを明らかにした。そこで、HOの分解シグナルを探索する目的で、human HO-2の1-20アミノ酸残基のN末端にCys残基を導入したペプチドCys-hHO-2(1-20)をFmoc法により合成した。合成ペプチドをリガンドとし、プラセンタ抽出液及びLung抽出液と混合させ、尿素処理によって結合タンパク質を溶出した。SDS-PAGEによって確認した結果、いくつかのタンパク質の特異的な結合が見られた。同様に、HO-2のcDNAをpcDNA/His-TOPO vectorに組み込み、HEK293細胞にトランスフェクトして作成した細胞抽出液を用いて同様の実験を行った。質量分析法によるペプチドマッピングを行った結果、HO-2に特異的に結合するタンパク質を6種類同定することに成功した。その中には、E3ユビキチンリガーゼ様タンパク質も含まれていた。また、HO-2をbaitとしたyeast-two hybrid法によって、HO-2に特異的に結合するタンパク質の同定にも成功した。一方、ERAD系の分解には、標的タンパク質を小胞体からサイトゾル内へ移行させるための因子、p97/Ufd1/Npl4複合体の関与が必須とされている。そこで、HEK293細胞に、タグを付加したHOとユビキチンとをトランスフェクトし、強発現させ、その細胞抽出液を抗HO抗体で免疫沈降させたところ、p97とUfd1がHOと共に共沈してくることがわかった。
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