研究概要 |
細菌べん毛モーターはイオンによって駆動される回転モーターであるが,このような巨大タンパク質複合体が生体膜上でどのように構築され,維持・管理されるのか明らかでない.本研究は,各々のモーター構成素子を緑色蛍光タンパク質(GFP)で蛍光標識し,生体膜上での巨大タンパク質複合体の構築機構,機能維持のための機構を明らかにすることを目的としている. 平成22年度の研究では,以下の項目についての研究を実施した. 1)べん毛モーター構成素子の分子数定量 平成21年度に構築した顕微鏡システムを用い,モーター回転子のGFP融合タンパク質が組込まれたモーターの蛍光退色から,単一モーターにおいてGFP融合タンパク質一分子に由来すると期待される退色蛍光強度差を検出した. 2)べん毛モーター構成素子の交換における外的要因(走化性シグナル等)の検討 本項目の実施にあたり,外的要因の探索,及びべん毛モーターの新規回転計測系を開発していたとろ,大腸菌の複数のモーターの回転が走化性システムによって同調的に制御されていることが新規に明らかになった.この発見は,これまでの知見に一石を投じる非常に重要かつ全く新しい発見であったため,当初研究計画を変更し,大腸菌による複数べん毛モーターの同調制御についての研究を進めることとした.
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