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2009 年度 実績報告書

中性子散乱とシミュレーションによる蛋白質動力学に対する水和とキャビティ効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21770178
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

中川 洋  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20379598)

キーワード生物物理 / 蛋白質 / 中性子 / シミュレーション / ダイナミクス
研究概要

蛋白質の構造揺らぎは、安定性や機能発現に関わる。蛋白質表面の水和構造は、蛋白質の揺らぎに著しい影響を与えることが知られている。また蛋白質の構造にはキャビティと呼ばれる空間的な隙間が存在して、分子パッキングの揺らぎの場となっている。蛋白質の揺らぎは多数の原子が協調的に動くため、水和水やキャビティの構造変化の影響は蛋白質全体に及ぶ。そこで本研究では、蛋白質を取り巻く水和構造や分子内部のキャビティ構造が、蛋白質の揺らぎ(動力学)をどのように制御しているのかを明らかにすることを目的として研究を行った。エネルギー分解能が異なる4つの非弾性散乱装置を用いて、動力学転移を観測した。その結果、観測される動力学転移は分解能によって異なることなり、特に水和によって誘導される動力学転移はナノ秒の時間スケールのダイナミクスが寄与していることを示した。また動力学転移の様相は時間スケールで異なることから、タンパク質動力学には時間スケールにおける階層性が存在することを示した。また東大物性研AGNES非弾性散乱装置において、高圧中性子非弾性散乱を行った。圧力により蛋白質のボソンピークが高エネルギーシフトすること、室温における非調和運動に由来する準弾性散乱が大きく抑制されることを観測し、圧力が蛋白質の低エネルギー領域に対して大きく影響することを示した。今後は、蛋白質の水和量や圧力を変えたシミュレーション研究も行い、水和構造の動力学やキャビティ構造の解析を行うなど、実験とシミュレーションを相補的に利用した蛋白質の低エネルギーダイナミクスの研究を行う。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Effect of conformational states on protein dynamical transition2010

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta. 1804

      ページ: 27-33

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中性子非弾性散乱法で観るタンパク質ダイナミクスに対する水和の影響2010

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 雑誌名

      中性子産業利用推進協議会季報「四季」 6

      ページ: 3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中性子非弾性散乱法で観るタンパク質ダイナミクスの水和効果2009

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 雑誌名

      生物物理 49

      ページ: 306-307

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 非干渉性中性子非弾性散乱で観るタンパク質ダイナミクスの水和効果2009

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 雑誌名

      波紋 19

      ページ: 91-94

    • 査読あり
  • [学会発表] 中性子非弾性散乱によるタンパク質ダイナミクス研究2010

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 学会等名
      第1回MLFシンポジウム
    • 発表場所
      東海
    • 年月日
      2010-03-29
  • [学会発表] 中性子非弾性散乱によるタンパク質の低エネルギーダイナミクスに対する水和効果2010

    • 著者名/発表者名
      中川洋, 他
    • 学会等名
      日本物理学会第65回年次大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2010-03-10
  • [学会発表] タンパク質ダイナミクスの調和運動と非調和運動に対する水和効果2009

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 学会等名
      第9回日本中性子科学会
    • 発表場所
      東海
    • 年月日
      2009-12-09
  • [学会発表] Hydration affects both harmonic and anharmonic nature of protein dynamics2009

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 学会等名
      第47回日本生物物理学会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      2009-10-30
  • [学会発表] 中性子非弾性散乱法によるタンパク質ダイナミクスの研究2009

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 学会等名
      拡大IRT研究会
    • 発表場所
      東海
    • 年月日
      2009-08-05
  • [学会発表] 中性子線利用の基礎講座2009

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 学会等名
      第38回繊維応用技術研究会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2009-07-30
  • [学会発表] 中性子散乱法で観るタンパク質と水界面の構造と揺らぎ~J-PARCへの期待2009

    • 著者名/発表者名
      中川洋
    • 学会等名
      第27回関西界面科学セミナー
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-07-24

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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