|
熱、紫外線、薬剤等のストレスに細胞がさらされると、翻訳は一時的に中断される。翻訳が中断されたmRNAは、RNA結合タンパク質とともにStress Granuleに蓄積し、mRNA分解から保護される。RBM42は、Stress Granuleに局在するRNA結合タンパク質であるが、RBM42がどのような遺伝子のmRNAを保護しているか不明であった。RBM42のターゲットmRNAを同定するために、RBM42を精製し、RBM42と結合するmRNAをマイクロアレイにより解析した。解析の結果、RBM42はアポトーシスの阻害分子であるXIAPのmRNAと結合することが明らかになった。さらに、RBM42ノックダウン細胞の遺伝子発現をマイクロアレイにより解析した結果、コントロール細胞に比べて、RBM42ノックダウン細胞ではXIAP mRNAが減少していることが明らかになった。これまでの報告から、XIAPは、小胞体ストレスにより起こるアポトーシスを抑制する機能を持つことが示されていた。RBM42の小胞体ストレス応答における機能を解析した結果、小胞体ストレス存在下では、RBM42のノックダウンにより細胞死が増加することが明らかになった。以上の結果から、小胞体ストレス存在下において、RBM42はXIAP mRNAの安定化することによりXIAPの発現を保証し、細胞をアポトーシスから防ぐ役割を果たすことが示唆される。
|
