研究課題
1分子解析技術は、蛍光顕微鏡視野内でリアルタイムに反応の素過程の観察を可能とする技術である。しかし、DNAの形態制御せずに観察を行うと1分子DNAはランダム構造を取るため詳細な視覚情報を得ることが不可能となる。そのため、1分子解析技術には形態制御が必須となる。今年度は1分子DNAを観察する際に重要な要因となるDNAの形態制御観察枝術開発および1本鎖DNAの可視化技術開発を行った。DNAの形態制御観察技術では、簡便でかつ解析に使用する貴重な試料が数十マイクロリットルで可能な方法を開発した。この方法は新規であり、「液滴移動伸長法」と命名し論文として報告を行った(Analytical Biochemistry, in press)。以降の実験では、開発した「液滴移動伸長法」を用いた。1本鎖DNAの可視化技術開発ついて、通常2本鎖DNAを解析する場合にはYOYO-1等のインターカレータ型の蛍光色素が用いられる。このような蛍光色素は2本鎖DNA領域のみ可視化できるが、1本鎖DNA領域に対しては有効な色素ではない。本研究の目的であるDNA代謝反応を中心としたDNA-タンパク質の相互作用解析のためにけ、1本鎖DNAおよび2本鎖DNA共に安定的観察可能な実験系の構築が必須である。そのため、1本鎖DNAの可視化技術開発を行った。1本鎖DNAの可視化のために、マウス1本鎖DNA結合タンパク質RPA70のDNA結合領域をもつ黄色蛍光タンパク質(YFP-RPA)を作成した。YFP-RPAは1本鎖DNA結合活性を有した。この結果より、1分子DNA中に1本鎖と2本鎖部位が共存するDNA分子の可視化枝術を開発した。1本鎖DNA領域の可視化にはYFP-RPA、2本鎖DNA領域にはインターカレータ型の蛍光色素を用いた2重染色を試みた結果、安定的に2重染色を行うことに成功した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
Analytical Biochemistry VOL.400(印刷中)