研究課題
昨年度に成功した1本鎖DNA結合タンパク質(Replication protein A : RPA)と黄色蛍光タンパク質(Yellow Fluorescent Protein : YFP)の融合タンパク質(RPA-YFP)を用いた1本鎖DNA可視化技術を用いて、流れによるDNA形態制御を行い1本鎖DNAのリアルタイム可視化技術を確立した。DNAの片端をガラス基板に固定し、polydimethylsiloxane(PDMS)を利用した微細流路を作製し、マイクロシリンジポンプによって流速を制御し、1本鎖DNA可視化操作は以下の流れに沿って行った。(1)DNAの片端固定、(2)DNA結合部以外の基板表面をブロッキング、(3)RPA-YFPによる1本鎖DNAの蛍光標識、(4)過剰RPA-YFP除去によるバックグラウンドの排除、(5)塩による結合RPA-YFPの解離、(6)RPA-YFPの再供給による再標識、(7)過剰RPA-YFP除去、いずれも同一分子を捉えることでその挙動を追った。操作(4)では直線状に伸張した1本鎖DNAの蛍光像がRPA-YFPの結合を介して観察され、操作(5)に移行すると塩の作用によりRPA-YFPの脱離が起こり点状の蛍光像になる様子を観察できた。さらに解離条件を調べるために100、300、500mM NaClでの解離を観察した結果、100mMでは時間経過によらず解離がみられなかったが、300と500mMでは一瞬のうちに解離した。流れを用いたDNAの形態制御に1、2、3μL/minを検討したところ、2μL/minの流速が最も観測に適していた。また、長時間の連続観察を行うために、1本鎖DNA結合ペプチドを修飾した量子ドット(Quantum dot : QD)を用いた1本鎖DNA可視化技術も確立した。以上の点について学会発表を行うとともに、成果の一部を論文として発表を行った。
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Journal of Fluoresce
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