研究課題
細胞の恒常性は、細胞の中で合成されたタンパク質がTGNおよびエンドソームで正しく選別され、機能すべき場所へと正しく運ばれることで維持されている。低分子量GTPaseであるRabはヒトで60種類以上存在し、一部を除いてほとんどのRabの機能は不明なままである。Rabはそれぞれ特異的なオルガネラに局在し、活性化されたGTP結合型Rabはさまざまなエフェクター分子をオルガネラ膜にリクルートし、小胞輸送における分子スイッチとして重要な役割を担っている。応募者は、エンドソームとゴルジ体の両方に局在するRab14に注目し、Rab14の調節メカニズムを解明することを目的とした。応募者はRab14と結合するタンパク質を酵母two-hybridスクリーニングにより、同定することに成功した。そのなかには、Rab4の結合因子として同定されているRUFY1が含まれていた。本研究によってRUFY1がエンドソームでRab14やRab4と共局在することやRUFY1がRab14やRab4と異なる領域を介して結合することが分かった。さらに、RUFY1のエンドソームへの局在はRab4ではなくRab14を介していることを明らかにした。また、RNAi法によるノックダウン解析によりRUFY1, Rab14, Rab4がトランスフェリンのエンドソームから細胞膜へのリサイクリングの経路を調節することを明らかにした。60種類以上あるRabタンパク質間の連続的なシグナルの伝達や機能のクロストークは共通の結合因子によって行われると考えられている。本研究ではRUFY1はその共通の結合因子としてRab14とRab4を機能的にリンクさせていることが示唆された。
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Molecular Biology of the Cell
巻: 21 ページ: 2746-2755
Journal of Biological Chemistry
巻: (In press)
http://www.cp.kyoto-u.ac.jp/HShin/ShinIndex.html