研究課題
ミトコンドリアは、細胞の機能および環境の応じて融合・分裂を介してダイナミックに形態を変化させる。近年、ミトコンドリアの形態変化が癌、糖尿病、神経変性疾患など成人関連疾患とも密接に関連することが次第に明らかにされつつあり、その形態制御を司る分子機構の解明は細胞生物学だけでなく疾患治療への応用の点からも非常に重要である。ミトコンドリアの分裂は高分子量GTPaseであるDrp1により実行される。Drp1は通常、細胞質に存在しておりミトコンドリア分裂時にその分裂面に集積化して膜切断を実行する。本研究ではDrp1のミトコンドリア分裂面への集積化を制御する分子機構を解明することを目的とする。本年度までに、RNAi(RNA干渉法)によりミトコンドリア外膜に局在する膜蛋白質の網羅的発現抑制を実施、Drp1の分裂面への集積化に作用する蛋白質因子の検索を行った。その結果、Drp1の集積化に必要な因子の同定に成功した。本因子の発現抑制により、Drp1集積化の阻害が見られ、それに伴いミトコンドリア膜の著しい伸長が引き起こされた。免疫沈降法あるいは細胞ベースの相互作用実験により、本因子がDrplと特異的に結合すること、さらに過剰発現によりDrplのミトコンドリアへの集積化促進、それに伴うミトコンドリアの断片化が誘導されることを明らかにした。
すべて 2009
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Nature Cell Biology 8
ページ: 958-966