ホスホリパーゼD(PLD)は細胞膜の主要構成成分であるホスファチジルコリンを加水分解することで、様々な生理活性を示すホスファチジン酸を産生する酵素である。細胞膜上におけるPLDの挙動および活性化状態を検出することにより、細胞におけるホスファチジン酸による空間的な情報伝達を明らかにすることが可能である。そこで、本課題においては細胞膜上におけるPLDの挙動と活性化状態の検出を目指している。 昨年度においては、細胞膜上における2つPLD(PLD1、PLD2)の動き及び各PLDと細胞骨格関連タンパク質を同時検出するための全反射顕微鏡の構築を行った。それぞれに異なる蛍光タンパク質をタグとして付加した2つのタンパク質を同時観測するため、すでに設置してある全反射顕微鏡に新たなレーザ光源を追加した。また、それぞれのレーザ光源に電磁シャッタを取り付け、各レーザの照射時間及び照射間隔、そしてシャッタ開閉に同調したデータ取得をコンピュータ上で制御するためのシステムを構築した。
|