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2010 年度 実績報告書

転写因子FoxQ2による二次軸形成抑制機構

研究課題

研究課題/領域番号 21770227
研究機関筑波大学

研究代表者

谷口 俊介  筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (00505331)

キーワード細胞分化 / 体軸形成 / 転写因子 / シグナル分子
研究概要

本研究は、ウニの初期胚において一次軸形成と二次軸形成のインターフェイスで働くFoxQ2およびその下流因子が二次軸形成を阻害するメカニズムの解析を目的としている。FoxQ2が発現している神経外胚葉は、二次軸形成因子であり腹側外胚葉を誘導するNodalとその下流因子で背側外胚葉を誘導するBMP2/4による非神経外胚葉形成の影響を受けない。これは神経外胚葉が二次軸形成ジグナルを打ち消すメカニズムを備えていることを示唆している。そこでFoxQ2阻害胚を用いたマイクロアレイ解析を行い、発現量が抑制された因子の中で、その時空間的発現パターンからFezを候補因子として機構解析を行った。Fez抑制胚では神経外胚葉のサイズが縮小し、非神経外胚葉領域が拡大したため、それらを誘導するNodalおよびBMP2/4との関連を調べた。その結果、NodalとFezを両方抑制した胚ではFezのみを抑制した胚と同様神経外胚葉のサイズ縮小が見られた。一方、BMP2/4とFezを同時に抑制した胚では神経外胚葉のサイズ縮小は見られなかった。これはBMP2/4が二次軸形成過程において非神経外胚葉を誘導する際、神経外胚葉領域においてはFezがその機能を抑制していることを示唆している。神経外胚葉領域におけるBMP2/4のシグナルの強度を可視化するため、BMPシグナルの細胞内媒介分子であるSmad1/5/8のリン酸化状態を調べた。正常胚において背側外胚葉で高いリン酸化状態を示すSmad1/5/8が神経外胚葉では極端に低い状態に抑えられていた。しかし、Fez抑制胚ではSmad1/5/8のリン酸化が高い状態で維持されており、正常胚で神経外胚葉領域になる位置の細胞でも、高いリン酸化状態を示す領域は非神経外胚葉に分化していることが示された。このことはFezが神経外胚葉領域特異的にBMP2/4のシグナルを抑制していることを示している。以上よりFoxQ2は自身の発現を抑制する二次軸形成因子BMP2/4に対して、Fezを誘導しBMP2/4シグナルを抑制することで神経外胚葉のサイズを保っていることが明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ankAT-1 is a novel gene mediating the apical tuft formation in the sea urchin embryo.2011

    • 著者名/発表者名
      谷口俊介
    • 雑誌名

      Developmental Biology

      巻: 348 ページ: 67-75

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TGFβ signaling positions the ciliary band and patterns neurons in the sea urchin embryo.2011

    • 著者名/発表者名
      谷口俊介
    • 雑誌名

      Developmental Biology

      巻: 347 ページ: 71-81

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of a dopaminaeric system in sea urchin embryos and larvae.2011

    • 著者名/発表者名
      加藤秀生
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Biology

      巻: 213 ページ: 2808-2819

    • 査読あり
  • [学会発表] ウニ神経外胚葉形成における転写因子Fezの機能解析2010

    • 著者名/発表者名
      谷口俊介
    • 学会等名
      日本動物学会第81回年会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2010-09-23
  • [備考]

    • URL

      http://www.shimoda.tsukuba.ac.jp/~yaguchi/index.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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