研究概要 |
これまでに、大脳皮質神経幹細胞におけるNeurogenin(Ngn)やFezf2などのPolycombによる制御は時期依存的に変化することを明らかにして来た。そこで、どのような機構でこのような時期依存的な変化が起こるのかを明らかにし、発生の「時間」の情報がどのように遺伝子発現制御へ翻訳されるのか、分子的に明らかにすることを目的として実験を行った。そのために、ngn,Fezf2以外のPolycombによって発生時期依存的に発現が抑制される遺伝子の同定、及び発生時期依存的に発現が変化するPolycomb関連遺伝子の同定を試みた。 胎生11,14,16,19日目のマウス胎児大脳皮質よりそれぞれ大脳皮質脳室帯を単離し、それぞれのサンプルからcDNAを作成した。また同時にそれぞれのサンプルを用いpolycombによって触媒されるHistoneH3K27triMe修飾について、どの遺伝子座にこの修飾が見られるかを明らかにするため、ChIPアッセイを行った。cDNAプロファイルの同定についてはDNA microarrayを用いて、HistoneH3K27triMe化修飾部位の同定についてはChIP-sequence法を用いて行った。その結果大脳皮質神経幹細胞の発生時期依存的運命制御を司るいくつかの候補遺伝子を同定する事ができた。この候補遺伝子の機能を解析することによって、神経系前駆細胞から産み出される細胞の時期依存的な変化の分子基盤の解明に大きく貢献出来ると考えている。
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