研究課題
パラロググループでは、その一つを破壊しても残りの遺伝子の発現が亢進し、破壊された遺伝子の機構を補うことがある。平成21-22年度に、まずPax2、Pax5、Pax8の遺伝子座の300kbpに存在する保存非コード配列(Conserved noncoding sequence:CNS)のエンハンサー活性を調べ、さらにそれらCNSのなかで、Pax2とPax5の遺伝子座にあるCNSが、Pax2の発現の減少を感知して活性化する「フェイルセーフ型エンハンサー」であることを報告した。本年度はCNSの解析をさらにすすめ新たにPax2の遺伝子座に一つ自分自身の発現の低下を感知して活性化するエンハンサーを同定した。また反対に自分自身の発現の低下に応答して抑制されるエンハンサーを発見した。このCNSは、Pax2自身に活性化される正フィードバック型エンハンサーである可能性が高い。また前年度に同定したPax2とPax5のフェイルセーフ型エンハンサーの機能についても研究を展開した。遺伝子発現ネットワークは、パラログ遺伝子の発現の減少や欠失だけでなく、環境要因によりかく乱されることが知られている。水生動物の生存において鍵となる環境要因は温度と塩濃度があげられる。そこでPax2の腎臓エンハンサーとレポーター遺伝子(GFP)をもつトランスジェニックカエルを通常の飼育温度18℃より高い24℃あるいは低い13℃で飼育したところ、レポーターの活性に影響はみられてなかった。そこで次に塩濃度を通常の0.1%より高い濃度にしたところ、1つのCNSがそれに応答して活性化することを見いだした。今後、遺伝子ネットワークの復元力における、パラログ遺伝子の発現の減少(遺伝的要因)と塩濃度など環境要因のクロストークについて研究を展開する予定である。
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Developmental Biology
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