平成21年度は下記の成果を得た 1.腎発生におけるCv2とTsgの分子相互作用の解析 Cv2がBMPシグナルをTsg依存的に活性化するメカニズムについて、in vivoおよびin vitroで解析を行った。 1)in vivoの解析として、Cv2^<-/->変異マウスとCv2^<-/-> ; Tsg^<-/->二重変異マウスの腎臓の表現型を、異常が観察され始める胎生14.5日胚を用いて解析した。その結果、Cv2^<-/->変異マウスではBMPシグナルが低下しているのに対し、Cv2^<-/-> ; Tsg^<-/->二重変異マウスではシグナル強度が野生型と同程度に回復していることが判明した。これにより、in vivoの腎発生においてCv2とTsgは強い相互関係があり、Cv2のBMPシグナル活性化機構はTsg依存的である事が判明した。しかし一方で、Cv2^<-/->変異マウスで強い表現型が観察される椎体においては、Cv2^<-/-> ; Tsg^<-/->二重変異マウスにおいてもBMPシグナルは野生型までは回復しておらず、賢臓以外の組織では、Cv2にはTsg以外の相互作用分子が存在する事が示唆された。 2)in vitroの解析として、ヒト胎児腎臓由来の細胞株であるHEK293T細胞を用い、Cv2とTsgの機能解析を行った。HEK293T細胞にCv2を強制発現した場合、DNA量に依存してBMPシグナルの活性化が観察されたが、この条件においてTsgをshRNAによりノックダウンすると、Cv2依存的なBMPシグナル活性化が観察されなくなった。このことはCv2によるBMPシグナルの活性化にTsgが必須である事を強く裏付けるものと考える。 2.腎発生におけるCv2のpro-BMP4活性についての解析 Cv2のBMPシグナル活性化機構を解析する目的で、Cv2とBMP4変異マウスの二重変異体を作製し、表現型を観察した。結果として、BMP7^<-/-> ; Cv2^<-/->二重変異体の場合とは異なり、BMP4^<+/-> ; Cv2^<-/->二重変異体では水腎症が高頻度に観察された。このことから、Cv2は水腎症の表現型に関してBMP4と遺伝的に相関がある事が判明した。
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