研究課題
新型ウイルスや変異型ウイルスが毎年のように発生することは社会問題の1つであり、これらの発生予測法確立は急務である。新興ウイルスの多くがRNAウイルスである(Domingo&Holl Annu. Rev. Microbiol. 1997)ことを考えると、RNAウイルスがいかに変化するのかというRNAウイルスの進化機構を解明することは重要である。また、単独では増殖できない寄生者であるRNAウイルスは宿主と寄生者が他方の変化に抗して互いに変化を繰り返す「敵対的な共進化」の中で進化すると考えられる。これらを解明するため、RNAウイルスを用いた「共進化のモデル実験系」を用い遺伝子型と表現型の変化を解析することが重要であると考えた。平成22年度は、研究代表者が構築した大腸菌とRNAバクテリオファージQβの長期実験室内共進化におけるQβファージのゲノム変化を明らかにし、また、表現型の変化がQβファージのライフサイクルのどの段階が変化したのかを明らかにした。その結果、新鮮な宿主に対してQβファージだけが進化する単独進化系に対して、共進化ではQβファージゲノムでの変異固定速度が約3.4倍大きくなった。つまり、共進化はQβファージの分子進化を加速することが明らかとなった。また、表現型の詳細解析により、共進化系で得られたQβファージは、宿主特異性や宿主への毒性の減弱という特徴を有していた。また、共進化したQβファージは、そのライフサイクルの中での感染菌からのburst確率の変化によって共進化した大腸菌に適応したことが示唆された。
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http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/kohou2/public/oyo/a.kashiwagi/index.htm