研究課題
インドネシア・スラバヤ動物園において、テングザルの糞の回収を行った。これは、この種特有の重層社会を解明するために、群間・群内の血縁度を測定するためのDNAサンプルを得るためである。糞は全部で84個回収することができたが、より正確なDNAサンプルを得るために動物園側とテングザルの捕獲・採血・採毛の許可について話し合いを行った。飼育個体の捕獲に関してよい返事をもらうことができたが、園長が交代することとなり、正式な許可を得ることができなかった。ガジャマダ大学のHery氏に血液や体毛からのDNA抽出に関して、大学設備の使用に関する許可を得た。回収した糞サンプルに関しては、すでにDNA抽出を終え、現在、岐阜大学において解析を進めている最中である。同時に、群間関係を明らかにするために行動観察を行った。2009年からの観察とあわせ、テングザルの群間には明確な順位が存在しないことが示唆された。また、性行動に関しても多くの観察をすることができ、その中でも、ホモセクシャル行動や生まれて間もない子を抱えての交尾など興味深い行動を観察することができた。更に、一群で雄の交代が起こっており、交代後の子殺しが起こっていないことが、個体識別したサルによって判明した。このことは、私が野生群において観察した結果と一致した。スラバヤ動物園由来のテングザルが飼育されているよこはま動物園ズーラシアにおいて、今後、共同で研究するために9月に現地を訪れ、現在の飼育状況などを確認した。今年度中に正式にズーラシアでのテングザルの研究許可を得て、日本においても研究を始める予定である。2010年9月に京都で開催された、gCOEシンポジウム(ポスター)と国際霊長類学会(口頭)において、Spacing pattern of proboscis monkey group at sleeping sitesというタイトルで発表した。
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Biology Letters
巻: 7 ページ: 786-789