研究概要 |
平成22年度は1,250名(小離島が90名、大離島が1,160名)の血液サンプルや身長や体重などの基本的臨床データ、臨床的動脈硬化評価データを得た。小離島の89名と、小離島のサンプルに性別や年齢をマッチさせた大離島130名において血清葉酸と赤血球中葉酸を測定中であり、現在小離島の血清葉酸のみ結果が出ている。小離島と大離島の比較では、研究協力者の年齢(平均±標準偏差、小離島71.1±10.0歳、大離島64.6±10.6歳)が有意に高かった。小離島の高齢化が進行していることを反映していると考えられ、また両者の比較には年齢と性別の調整が必要と考えられた。小離島の血清葉酸濃度は5.5±2.6ng/mlであった。動脈硬化の指標であるIMTは小離島0.74±0.12mm、大離島0.71±0.13mmであり、有意差は認めなかった。CAVIは小離島8.2±1.4、大離島8.0±1.4であり、こちらも有意差を認めなかった。年齢と性別を調整したIMTは小離島0.70(95%信頼区間,6.7-7.2)mm、大離島0.72(7.1-7.2)と有意差を認めなかったが(p=0.128)、CAVIは小離島7.7(7.5-8.0)、大離島8.0(8.9-8.1)であり有意差を認めた(p=0.022)。 年齢と性別を調整すると、CAVIにおいて小離島が大離島に比べて動脈硬化度が低いことを認めた。この差は遺伝および環境因子の影響が考えられ、環境因子には食習慣が影響している可能性が考えられた。
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