研究課題
危険を伴う動作を観察した際のミラーニュロンシステム(MNS)について、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験を行った。被験者34名(男性20名・女性14名、平均年齢23.4±3.7)を対象とし、手を用いた危険な動作と安全な動作の動画(2.5-4.0秒)を作成し、被験者に提示した際の賦活について解析を行った。また実験に先立って、被験者の心理状態の個体差をGHQ12、STAI(Trait及びState)、SDSによる質問紙調査によって解析した。解析にはSPM5(Statistical Parametric Mapping)を用いた。その結果、いずれの動作を観祭した場合も、MNS領域での賦活がみられた。さらに、危険な動作と安全な動作によって、MNS領域及びMNSに関連する領域の一部において賦活の強さが異なる事が明らかになった。危険な動作を観察した際に、賦活が強くなる領域は、下頭頂小葉(inferior parietal lobule : IPL)、上側頭溝(superior temporal sulcus : STS)、及び中側頭回(middle temporal gvrus : MTG)であつた。安全な動作を観察した際に、賦活が強くなる領域は観測されなかった。さちにMTGでは、GHQ12及びSTAI-Stateスコアと負の相関を示す事が明らかとなった。現在は、睡眠負債時に認知する危険な動作と安全な動作の関運について実験を行い、他者の痛みを認知する機能と合わせて解析を進めている。共感に関連した領域である前帯状回皮質(anterior cinulate cortex : ACC)、背外側前頭前野(dorsolateral prefrontal cortex : DLPFC)や、MNSとその関連領域である下頭頂小葉(inferior parietal lobule : IPL)、上側頭溝(superior temporal sulcus : STS)において、賦活が強化される結果を得ており、さらに詳細な解析を進めている。
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PLoS One e8395
ページ: 5(1)
Gen Hosp Psychiatry (印刷中)
睡眠医療 3
ページ: 383-386
http://www.ncnp.go.jp/nimh/seiri/index.html