新規出穂期遺伝子の同定を目的として、銀坊主に由来する早生突然変異系統NS112の原因遺伝子の詳細マッピングを行ったOHS112×日本晴のF2集団389個体を用いて解析を行った結果、HS112のもつ突然変異遺伝子は染色体3のRM14388とmPing SCARマーカーMK3_6の間約1Mbに座乗することが明らかとなった。同様に早生突然変異系統HS118および254はそれぞれ染色体1および10に座乗することが明らかとなった。これらの領域にこれまで出穂期関連遺伝子の存在は報告されていないことから、これら3系統のもつ突然変異遺伝子は新規出穂期遺伝子の可能性が高い。次年度以降はさらなる詳細マッピングを行い、遺伝子単離を試みる。 多重突然変異系統を育成するために、すでに遺伝子単離が済んでいる早生突然変異系統X61、晩生突然変異系統HS169およびそれらの2重突然変異系統DMG2を用いてカンマ線照射によって新たな突然変異を誘発した。X61、HS169およびDMG2の種子各4000粒にガンマ線を照射し、それぞれ2277、3650、2920系統から成る変異誘発M2集団を育成した。それぞれの系統はM2集団の選抜を行うための十分な種子を確保できたことから、今後はこれらM2系統を栽培し、出穂期突然変異系統の選抜およびマッピング集団の育成を行う予定である。 上記6種の突然変異系統に加え、すでに遺伝子単離が済んでいる晩生突然変異系統HS276の計7系統を用いて相互交配を行い、多重突然変異系統の育成を行った。約40種類の交配組み合わせを行い、F1種子を得るとともに、一部組み合わせは冬季世代健進栽培を行い、次年度播種できるF2種子を得た。
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