研究課題
カドミウム(Cd)を地上部に多く移行させるイネ品種、長香穀についての解析では、長香穀にOryza sativa heavy-metal-transporting P-type ATPase3(OsHMA3)の野生型遺伝子を形質転換することで地上部へのCd移行率が低下した。また、OsHMA3のRNAi系統で長香穀と同様Cdが地上部に多く移行したことからも、OsHMA3が長香穀の表現型の原因遺伝子であることが確認された。台中65号の変異源処理済みM_3世代の種子を用いた突然変異体のスクリーニングでは、最終的に、;約400系統から2系統がCdに対する反応性に変化が起きた系統として同定された。1系統ではCdへの反応性の喪失が見られた。この突然変異体の原因遺伝子は、イネのCd感受機構に関与する可能性があり、この突然変異体を解析することでイネにおけるCd蓄積に関与する新規の知見が得られると考えられる。他の1系統ではCdの添加によって葉身上の黄色斑点が消失し、葉の矮化が軽減した。この突然変異体の原因遺伝子は、イネの発生におけるCdの新たな役割に関与する可能性がある。長香穀の変異源処理済み種子の作出については、平成22年度にM_2集団約1,000系統が得られた。シロイヌナズナのCd蓄積に関わる遺伝子、AtHMA2~4のホモログであるOsHMA2のノックアウト系統では、Cdおよび亜鉛(Zn)の地上部への移行率が顕著に低下していた。OsHMA2遺伝子は特に根で強く発現しており、CdおよびZnの地上部への移行を促進するのに必要な遺伝子であることが明らかになった。
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http://www.akita-pu.ac.jp/kyoin/kyoin0202.htm