本課題は(1)「セリ科チドメグサ属の未判定外来生物H.umbellata、H.verticillataの生育特性」及び(2)「要注意外来種及び未判定外来生物の繁殖特性の把握」に取り組んだ。 (1) はH.umbellata、H.verticillataにブラジルチドメグサを加えた3草種を対象草種とした。コンテナ試験の結果から3草種とも5cm程度の堪水条件下にて最も旺盛に生育し、特に水質が富栄養条件になるとブラジルチドメグサの増殖速度は著しく速くなった。腰水の湿土条件及び降水量の平年値から換算して潅水した乾土条件ではブラジルチドメグサの生長量は抑制され、葉部の大部分は蒸散を防ぐためのロゼット葉に変化した。これに対し、H.umbellata及びH.verticillataではブラジルチドメグサほどの生育抑制は生ぜず、耐乾性を有する事を確認した。これらの結果からH.umbellata及びH.verticillataはブラジルチドメグサほどの爆発的な増殖力は有しないものの、幅広い土壌水分条件に適応可能であることが明らかとなった。 開花結実特性について調査した結果、ブラジルチドメグサは堪水条件のみ、H.umbellata及びH.verticillataは堪水条件から乾土条件の全ての土壌水分条件で活発に開花した。種子はブラジルチドメグサでは見出せず、H.umbellata及びH.verticillataでは貧栄養条件になると比較的多く生産し、特にH.verticillataでは多数の生産が認められた。採種直後から発芽実験を変温条件下で実施したがいずれも発芽は認められず、休眠状態にあることを確認した。 (2) は園芸店等による聞き取り調査及び現地調査の結果から、トチカガミ科の沈水性外来種Lagarosiphon majorと浮遊性外来種Limnobium laevigatumが岡山南部において新たに広く分布しつつある事を確認したため、本年度はこの2草種に絞って繁殖特性の把握を試みた。現地調査からLagarosiphon majorは既存のオオカナダモ群落に侵入し、競合している状況や置き換わった地点を多く確認した。Limnobium laevigatumについては水面を広くマット状に覆い、冬季に現存量が低下したものの岡山南部では越冬が可能であった。 本結果は未だ断片的で1年を通した調査が必須であるため、今年度の成果は2010年度以降に発表する。
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