ペチュニアの花の色彩にはアントシアニンが重要であるが、アントシアニンを蓄積しない色彩様式をもつ白花や黄花の品種もある。そこで研究では、ペチュニアにおける白花と黄花の生合成機構を解析し、新たな花色選抜マーカーを開発する。 1.白花ペチュニアの解析:供試材料として使用した'さくらさくら'の花冠角素分析は、マルビジン系アントシアニンが蓄積していることが判明した。一方、'さくらさくら'の白花突然変異系統の色素は、マルビジンを花に蓄積しておらず、主要色素はフラボノールである事が明らかとなった。また、一般の市販品種の白花は、フラボノールを主要色素としておらず、ケイ皮酸を主要成分として蓄積しているため、さくらさくら'の白花突然変異系統で表現される白花は、一般的なペチュニアの白花とは異なる事が判明した。このことから、ペチュニア品種の白花は2種類の変異系統が存在し、白花の起源が異なる可能性が示唆された。今後、2系統の白花の標的遺伝子を探索することで白花選抜の遺伝子マーカーが可能となる。 2.黄花ペチュニアの解析:ペチュニアの黄花品種における色素構成は、フラボノールを主要色素としている事が明らかとなった。また、一部の品種で花冠色素としてカロテノイドの蓄積も確認された。このことから、アントシアニン合成系構造遺伝子の下流の遺伝子が失活している可能性が示唆きれた。また、カロテノイド蓄積型ペチュニアが存在するため、今後の花色幅を広げる育種素材として提案できる可能性が考えられた。
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