研究概要 |
日本に自生するマタタビ属植物における『一歳性』個体の探索と遺伝的多様性の解明を行うために.サルナシ47系統(青森県産,秋田県産,山形県産,岩手県産,新潟県産,福岡県産および宮崎県産),ウラジロマタタビ7系統(福岡県産および宮崎県産)およびマタタビ(山形県産,福島県産,福岡県産,大分県産および宮崎県産)17系統を供試して,挿し木苗を育成したところ,福島県産のマタタビ1系統が挿し木した翌春に花芽を形成した.低樹高で開花・結実する性質をもつ可能性が高いことから,今後も生育調査を継続して行う予定である. 『一歳性』サルナシの生理生態的メカニズムを明らかにするために,冬季に屋外で栽培した一歳サルナシを異なる時期にファイトトロン(15℃)に搬入し.花芽形成を観察したところ,福岡市において1月下旬以前に花芽誘導されていることが明らかになった.花芽誘導条件を詳細に明らかにすることにより.マタタビ属植物における開花・結実存制御できるモデル植物として『一歳性』サルナシを利用することも可能になる. 『一歳性』と『非一歳性』サルナシの相互接木法の改良を行い,多くの接木苗を得ることができた.『一歳性』サルナシを用いて接ぎ木により得られた苗を用いることにより,『一歳性』サルナシがもつ低樹高開花・結実性の機構を明らかにできる. 『一歳性』個体と『非一歳性』個体との交配を行い,得られた種子から多くの実生を獲得できる交配組合せを明らかにした.播種して花芽形成するまでの期間を引き続き調査し,マタタビ属植物の『一歳性』の遺伝性を明らかにするための植物材料として用いる予定である.
|