リンドウから単離した花弁形成に関与するB-class MADS伝子のうち、酵母2ハイブリッド法およびBiFc法でタンパク質間相互作用が観察されたGsGLO2とGsDEF1、GsDEF2について様々な組み合わせで共発現している形質転換タバコを作出した。それらのうち、GsGLO2とGsDEF1またはGsGLO2とGsDEF2を共発現した形質転換体は、萼器官が花弁様器官に変換し、GsGLO2がGsDEF1またはGsDEF2と相互作用して機能し花弁器官決定を制御していることが生体内でも示唆された。これらのタバコ形質転換体を高温(30℃)条件において栽培した結果、通常の栽培条件で栽培した場合と比較して有意な変化が観察されなかった。同様のコンストラクトをシロイヌナズナにも形質転換した結果、GsGLO2とGsDEF2の共発現により萼器官が花弁様器官に変換したが、GsGLO2とGsDEF1共発現形質転換体では、GsGLO2単独過剰発現の表現型と変化が認められなかった。このことから、GsGLOとGsDEFの異種植物での花弁形成に及ぼす機能評価には内在の遺伝子の影響が示唆されたため、生体内におけるB-class MADS boxの相互作用の温度との影響について証明することはできなかった。現在、GsGLO2とGsDEF1またGsDEF2を共発現したリンドウを作出しており、その表現型を評価する事で温度とB-class MADSによる花弁形成との関係を明らかにしていく。
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