研究概要 |
花弁の老化はプログラム細胞死の一種であり、その開始と進行は厳密に制御されている。近年、オートファジーがプログラム細胞死において重要な役割を果たしていることが示唆されている。本研究では花弁老化時におけるオートファジーの役割について解析する。本年度は、オートファジーに必須であるATG8遺伝子のホモログをアサガオから単離し、花弁老化時における発現様式を解析した。まず、アサガオESTデータベースの検索により、シロイヌナズナのATG8遺伝子と高い相同性を示すアサガオATG8ホモログを6種(InATG8a-f)単離した。アサガオの花弁では、開花後8時間(t8)から10時間(t10)の間に可視的な老化の開始が認められる。花弁におけるInATG8a、b、d、e、fの発現レベルは開花後増加し,t4またはt8で最大値に達した。InATG8cの花弁での発現レベルは実験期間を通して低かった。これらの結果は、花弁老化時にオートファジーが誘導されること、また、複数のInATG8ホモログが、オートファジー誘導に関与していることを示唆している。本年度はさらに、アサガオ花弁老化時におけるオートファジーの誘導様式を詳細に解析するため、InATG8fとGFPの融合タンパク質を発現させるコンストラクトを作製し、アサガオへの遺伝子導入を行った。さらに、InATG8fの発現抑制形質転換体を作出するためのRNAiコンストラクトを作製し、遺伝子導入を行った。現在、これらの形質転換体を育成中である。
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