研究課題
昨年度は植物の細胞間移行性タンパク質(NCAP)であるNTH201とTMV MPの相互作用について解析し、NTH201とMPを架橋する因子NtMPIP1を得た。そこで、今年度はNtMPIP1の機能解析を行った。VIGS法を用いてNicotiana benthamianaにおいてNtMPIP1の発現抑制を行い、TMV-GFPを接種したところ、ウイルスRNAの蓄積量が減少した。また、NtMPIP1のサイレンシングによりTMV-GFPの蛍光斑の面積が顕著に減少した。以上の結果より、NtMPIP1はTMVの細胞間移行に必要な因子であることが示された。また、昨年度はNTH201を植物細胞内で単独で発現させた際の局在解析を行い、NTH201が核に局在することを示したが、今年度は引き続きウイルスタンパク質発現時におけるNTH201の細胞内局在を解析した。パーティクルガンにより赤色蛍光タンパク質DsRedを融合させたTMV MP(MP:DsRed)をNTH201:GFPと同時にN.benthamianaの表皮細胞に導入した。その結果、NTH201:GFPの局在が変化し、導入細胞の細胞質においてMP:DsRedと共局在することが分かった。MPはTMVの複製複合体VRCの構成成分であり、MP:GFPを発現するTMV(TMV-MP:GFP)を用いて、VRCを可視化できることから、タバコプロトプラストにNTH201を発現させ、NTH201がVRCの形成にどのような影響を与えるかを観察した。その結果、NTH201発現プロトプラストにおいてVRCの形成が促進されることが明らかになった。以上を要するに、NTH201はNtMPIP1と協調的に働いて、TMVのMPと相互作用しながらTMVの細胞間移行を促進する働きを持つことが示唆された。
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