研究課題
イネいもち病菌に対するイネの抵抗性発現におけるトリプタミン経路の役割とそれに関わるイネいもち病菌の抵抗性誘導因子(エリシター)の分離を試みた。まず、野生型イネ(品種:朝日)においてイネいもち病に対する抵抗性反応時にトリプタミン蓄積及びトリプタミン関連酵素が誘導されるかを調査した。その結果、イネいもち病菌の感染行動が開始され、イネに侵入する時間帯に一過的にトリプタミンの蓄積が増加し、イネいもち病菌の感染が阻害された。また、トリプタミンの合成に関わるトリプトファン脱炭酸酵素(TDC)の活性やトリプタミンの酸化に関わるモノアミン酸化酵素(MAO)の活性もトリプタミンの蓄積に伴って一過的に増加した。さらに、トリプタミンを処理したイネでは抵抗性反応と同様の褐点が形成された。このことは、変異型イネの抵抗性に関わっているトリプタミン経路が野生型イネにおいても存在し、イネいもち病菌に対する抵抗性誘導に関与している可能性を示唆した。そこでイネいもち病菌の胞子発芽液(SGF)によるトリプタミン蓄積及びトリプタミン関連酵素活性について調査した。その結果、イネいもち病菌接種時と同様にトリプタミン蓄積及びトリプタミン関連酵素活性の増加がSGFによっても確認された。またトリプタミン蓄積及びトリプタミン関連酵素(TDC及びMAO)活性の増加に関わるSGF中のエリシターの性状解析と分離を行った結果、SGF中の因子は熱安定な分子量1万以上の物質でマンノースを含む物質であった。
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Journal of General Plant Pathology
巻: (印刷中)
植物防疫
巻: 64 ページ: 15-18
Journal of phytopathology
巻: 158 ページ: 378-381
http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/blast/index.html