IRT1のプロモーター領域にT-DNAが挿入されたIRT1欠損型シロイヌナズナを入手し、野生型(Col-0)シロイヌナズナと共に約4週間栽培した。鉄濃度0μmol/L/ニッケル濃度25μmol/L鉄濃度50μmol/L/ニッケル濃度25μmol/L、の2通りの試験区に移植してさらに一週間栽培し、根の生鮮重量あたりの長期間のニッケル集積量を測定した。次に同様に栽培した4週齢の野生株とIRT1欠損型を前培養として鉄十分(50μmol/L)、鉄欠乏(0μmol/L処理区に移植して4日間栽培した。その後植物体を、^<63>NiCl_2を添加した吸収バッファー(1/2str.MGRL、5μmol/L ^<63>NiCl_2、0μmol/L Fe(III)-EDTA、5mmol/L、MES、pH5.5)に移植し、植物体を回収して根の^<63>Niの核崩壊の数を測定した。また、鉄無添加処理区(Fe:0μmol/L、Ni:25μmol/L)、鉄十分処理区(Fe:50μmol/L、Ni:25μmol/L)で栽培した野生型とIRT1欠損型について根に集積したニッケル量を比較した。その結果、鉄無添加条件下で栽培した野生型の長期間のニッケル集積量は他の処理区のニッケル集積量の3.1~4.5倍であった。さらに前培養/試験が鉄無添加/鉄無添加、鉄十分/鉄十分で栽培した野生型とIRT1欠損型について根の^<63>Niの核崩壊の数を測定した結果、ニッケル吸収量も鉄無添加条件下で栽培した野生型では他の処理区の3.4~5.3倍であった。 これらの結果よりシロイヌナズナの根において、ニッケルはIRT1を介して吸収されていることが明らかになった。
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