研究概要 |
msiKは,複数の糖質ABC(ATP-binding cassette)トランスポーターのATP加水分解コンポーネントをコードする遺伝子であり,放線菌Streptomyces coelicolorA3(2)において複数の糖質の資化に必須であることが知られている。平成21年度は,msiKと相同性をもつ遺伝子mhpKを相同組換えによって破壊し,mhpK欠失変異株MRC2を得た.MRC3株について,msiH欠失変異株ASC3とともに28種類の糖質(多糖,三糖,二糖,単糖,糖アルコール)の資化性を調べたところ,ASC3株が28種類中17種類の糖質を唯一の炭素源とする最少培地で生育できなかったのに対し,MRC株とその親株であるM145株は28種全ての糖質を資化した。これらの結果から,msiKがこれら17種類の糖質の資化に必須であるのに対し,mhpKは28種類の糖質の資化に必須でないことが判明した。一方,C末端にヒスチジンタグ(Hisタグ)を付加したMsiK(以下,MsiK^<His>)を,ASC3株においてNativeの推定プロモーターの制御下で発現させた。発現させたMsiK^<His>は,Ni親和性クロマトグラフィーによって,回収することができた。また,MsiK^<His>と相互作用すると考えられるタンパク質を得ることができた。
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