研究概要 |
平成21-22年度は,放線菌Streptomyces coelicolor A3(2)において,misK遺伝子が17種類の糖質の資化に必須であることを示し,そのうえで,C末端側にヒスチジンタグを付加したMsiKタンパク質(His-MsiK)をmisK破壊株で発現させ,ニッケル親和性クロマトグラフィーによってMsiKと相互作用すると考えられるタンパク質を得る方法を確立した。得られたタンパク質試料について,条件を検討・最適化することで,Blue-Native PAGE (BN-PAGE)によって複合体をバンドとして分離することに成功し,複合体バンドに含まれるタンパク質を,ペプチドマスフィンガープリンティング法(PMFP)によって網羅的に検出,同定した。コロイド状キチンを炭素源として培養した放線菌細胞を用いてこれらの解析を行ったところ,輸送系基質未同定のABC輸送系タンパク質を複数見いだすことができた。H23年度は,これらの機能未知なタンパク質の機能を解明することを目的として研究を遂行した。PMFPによって見出された3つのABC輸送系受容体様タンパク質(a,b,cとする)のうち,2つ(aとb)については大腸菌のペリプラズムに生産・精製し,蛍光消光法によって各種糖質との相互作用解析を行った。その結果,タンパク質aはマルトースに特異的に結合するタンパク質であり,タンパク質bは亙アセチルグルコサミンをはじめとするアミノ糖に結合することが判った。タンパク質bはS.coelicolor A3(2)の細胞で構成的に生産されており,そのレベルはN-アセチルグルコサミンおよびN,N'ジアセチルキトビオースの存在下で1.5倍程度増加した。タンパク質bとcをコードする遺伝子については破壊株を作成し,表現系を解析した。
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