研究概要 |
有用な生理活性を持ち医薬品や食品用途などへの利用が期待されている水酸化アミノ酸類を効率的に生産する酵素変換法の開発に取り組んだ。ゲノムデータベース検索により、α-ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼであるL-イソロイシンジオキシゲナーゼ(IDO)などの既存のアミノ酸水酸化酵素との相同性を保持する新規ジオキシゲナーゼの候補となる酵素を40種類以上選別した。これら候補酵素類は大腸菌発現系にてHis-tag融合タンパク質として大量に発現され、Niアフィニティカラムにて精製後、順次アミノ酸を中心とした基質特異性解析に供した。その結果、Nostoc punctiforme PCC 73102株由来ジオキシゲナーゼにおいてL-ロイシン,L-ノルロイシンにおいて新規水酸化活性が見いだされた。さらにBordetella petrii DSM 12804株由来ジオキシゲナーゼについてはN-カルバモイル-L-イソロイシン、N-カルバモイル-L-ロイシンなどN置換のアミノ酸に対する新規水酸化活性が見いだされた。また既知のBacillus thuringiensis 2e2株由来IDOにおいてもL-イソロイシン以外に,L-allo-イソロイシン,L-ロイシン,L-ノルロイシン,L-ノルバリンに対する水酸化活性を新たに見いだした。以上に挙げた様に既に幾つかの新規水酸化アミノ酸を酵素反応により容易に生産することが可能になっている。このような水酸化アミノ酸を有機合成法で大量生産することは大変困難であり、酵素反応を利用した本手法の優位性は大きい。また新規水酸化アミノ酸を大量に生産できるようになったため、生理活性解析などの様々な評価系に広く適用することが可能になり、結果としてその有用性が詳細に検討され多方面に応用されていくことが期待される。
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