研究課題
有用な生理活性を持ち医薬品や食品用途などへの利用が期待されている水酸化アミノ酸類を効率的に生産する酵素変換法の開発に取り組んだ。前年度までに取得したBacillus thuringiensis 2e2株由来ジオキシゲナーゼ(IDO)、Nostoc punctiforme PCC73102株由来ジオキシゲナーゼ(LdoA)、及びBurkholderia ambifaria AMMD株由来の2種のジオキシゲナーゼ(SadA, SadB)について詳細な基質特異性解析と反応産物の構造決定を実施した。IDOは疎水性の脂肪族L体アミノ酸類の4位炭素に水酸基を導入し、(S)-4-hydroxy-L-isoleucine, (S)-4-hydroxy-L-norvaline, 4-hydroxy-L-norleucine, 4-hydroxy-L-leucineなどを生成する事を明らかにした。またLdoAはL-leucineとL-norleucineの5位炭素に水酸基を導入し、それぞれ(4S)-5-hydroxy-L-leucine, 5-hydroxy-L-norleucineを生成する事を明らかにした。さらにSadAとSadBは共にN置換の疎水性脂肪族L体アミノ酸類の3位炭素に水酸基を導入し、N-succinyl-3-hydroxy-L-leucineなどを生成することを明らかにした。この様に各ジオキシゲナーゼは基質特異性が大きく異なり、特にL-leucine(誘導体)に関しては3位、4位、5位水酸化体を個別に作り分ける事ができる様になった。本年度で見出されたジオキシゲナーゼによるアミノ酸水酸化活性は全くの新規反応であり、また何れの反応においてもその立体特異性は高く、キラル水酸化アミノ酸の生産のための産業用酵素触媒として非常に優れていることを発見できた。
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Applied Microbiology and Biotechnology
巻: 88 ページ: 719-726
巻: 89 ページ: 1929-1938