研究課題
1.概日時計の分子機構に関する研究:植物固有の概日時計関連因子である疑似レスポンスレギュレーター(PRR)は緑藻、コケ、シダから高等植物に至るまで広く保存されている。コケ、シダのPRRファミリー因子にはセンサーキナーゼからのリン酸基転移を受けることのできるレシーバードメインを保持しているものが存在する。本研究では、コケのPRRホモログタンパク質と大腸菌のヒスチジンキナーゼArcBを過剰発現した内膜画分を精製し、in vitroでArcBからPRRへのリン酸転移反応がおきることを示した。ヒメツリガネゴケのPRRをシロイヌナズナに導入し概日リズムや光形態形成、花成に関する表現型解析を行い、ヒメツリガネゴケにおいて高等植物のPRRの機能が保存されていることを示唆する結果を得た。2.概日時計による植物個体統御に関する研究:マメ科植物ミヤコグサにおいてもモデル植物シロイヌナズナ同様、概日時計により光形態形成や花成が制御されていると推定されるが、シロイヌナズナとは異なり栄養成長器官に分化する腋芽の伸張制御が観察されることや、多年性としての性質をもつ。本研究ではミヤコグサのゲノムデータベースを検索し、FTのオーソログを推定した。これをコードする遺伝子をシロイヌナズナに導入した植物体は花成が促進されることを示した。また、ミヤコグサゲノムの解析から、シロイヌナズナにおいて長日条件特異的にFT遺伝子を発現するための制御因子として知られているCOタンパク質のオーソログがミヤコグサには存在しない可能性があることを見いだした。シロイヌナズナの日長に応答した光形態形成に重要な役割を果たすことが知られているPIF4/PIF5のオーソログをミヤコグサゲノムから見いだし、この遺伝子発現が概日時計の支配下にあり明瞭なリズムをもつことを示した。
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