植物細胞の液胞には、動物細胞のリソソームに相当するプロテアーゼをく含む分解型液胞と発芽時の栄養分となる貯蔵タンパク質や害虫に対する防御タンパク質を蓄積するタンパク質貯蔵液胞とがある。・分解型液胞への輸送機構に関する研究はかなり進展しているが、タンパク質貯蔵液胞への輸送機構に関しては不明な点が多い。また、登熟期の種子は、発芽期の栄養源となる種子タンパク質を大量に貯蔵液胞に蓄積するため、タンパク質貯蔵液胞への輸送機構の研究における格好のモデル組織である。タンパク質貯蔵液胞への選別輸送は、複数のタイプの選別輸送シグナルによって制御されていると考えられている。本研究では、今まで解析が進展していないタイプの選別輸送シグナルに対するレセプターを同定し、種子タンパク質がタンパク質貯蔵液胞へ輸送されるために必須な選別輸送機構をより詳細に解明することを目的とする。ダイズ登熟期種子を用いて、高次構造により形成されるシグナルのみをもつグリシニンのサブユニットであるA3B4を結合させたアフィニティーカラムを用いて、登熟期ダイズ種子よりミクロソーム画分に含まれる組換え型A3B4と相互作用する分子の探索を行い、アフィニティーカラムに結合したタンパク質を緩衝液を用いて溶出した画分から複数の分子について取得した。
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