1. セレノシステイル-tRNAの生成過程およびセレノシステインの共翻訳的挿入に関与することが示唆されているタンパク質(SCL、SPS1、SPS2)の各々をbaitとしたtwo-hybridスクリーニング、および、タグを付けて発現させた各々のタンパク質を用いたpull-down解析を行い、これらの因子に相互作用するタンパク質を探索し、候補となるタンパク質を得た。 2. セレノシステイン、亜セレン酸はいずれも、生体内のセレンタンパク質合成においてセレン源として用いられる。亜セレン酸は血中で赤血球に取り込まれ、還元された後に血漿中に放出されることが知られているが、セレノシステインの動態については明らかにされていない。そこで、セレノシステインが十二指腸から吸収されて血液中へ移行した際の挙動を調べるため、血球細胞との相互作用を調べた。その結果、セレノシステインが赤血球に取り込まれることを初めて見出した。さらに、亜セレン酸とは異なり、セレノシステインは血漿成分存在下であっても赤血球から放出されないことが明らかとなった。 3. Geobacter sulfurreducensのセレンタンパク質翻訳に関与すると考えられるSelBをクローングし、その諸性質を調べた。また、本細菌に存在する新規セレンタンパク質であるMHSEPの発現誘導条件を検討したところ、マンガンによって特異的に発現が誘導される可能性が示唆された。
|