研究課題
本研究の目的は、脂質の高感度解析を目的として、イオン化におけるバックグラウンドを統一し、再現性のある測定を行うため、TLCからPVDF膜へ脂質を転写し(TLC-Blot)、その転写膜を直接質量分析するTLC-Blot-MALDIの手法を確立することである。本年は実施計画通り、多数検体を一度に解析できるように、広範囲をイメージングする手法を開発し、多検体のディファレンシャル解析を可能とした(論文2、3)。この時、イオン化補助剤の塗布方法に注意が必要であったため、その最適化に特に留意した。その結果、これまでTLC上で明らかにすることが困難であった分子種ごとの定量解析を簡便に行う事が可能となった。そして、本手法に関わる総説も発表し、広く脂質研究を行っている研究者へ本法をアピールした(論文4)。更に、高感度化についても検討を行い、微量な脂質の検出を試みた。応用研究として、マウス精子に特異的に検出される新規の糖鎖構造をもった糖タンパク質の解析を行った。まず、この糖タンパク質を特異的に検出する抗体を用いて、同じ糖鎖構造をもつ糖脂質をスクリーニングした結果、血球細胞に同様の糖鎖構造をもつ糖脂質の発現を明らかにすることができた。その後、本手法を用いることで詳細な糖鎖配列を明らかにすることができた。(論文1)。得られた実験結果については原著論文3報、総説1報、及び日本質量分析学会、BMB2010(第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会 合同大会)にて発表した。
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