前年席の研究において、アルファルファ根分泌液から活性物質を単離・構造決定した。しかし、その活性本体はアシルホモセリンラクトン(AHL)そのものであった。先行論文において、植物から分泌されるAHLミミックはラクトナーゼで不活化されると報告されているが、その事実とも矛盾はしない。しかし、本物質を植物自身がつくっているのか、あるいは共生バクテリアが作っているのかを明らかにしなければならなくなった。そこで、アルファルファを無菌的に水耕栽培して回収した根分泌物中にAHLが含まれることが確認された。続いて、無菌的に生育させた植物体からゲノムDNAを抽出し、バクテリア16SrRNA遺伝子用のユニバーサルプライマーを用いてPCRを行ったところ、増幅産物に由来するバンドが検出された。これらの結果を総合すると、植物根から根圏へ分泌されるAHLミミックは共生バクテリアが産生するAHLである可能性が示唆された。
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