光は植物の成長に不可欠な光合成の駆動力であるが、その多くは光合成に利用されない光であり、またこうした過剰な光は光合成を低下させる要因となり得る。そこで、ブナ樹冠内の異なる光環境を対象に光環境と光合成特性の測定から、樹冠内における過剰光について整理した。 光飽和点は410~730μmolm^<-2>s^<-1>であり、最大光合成速度と正の相関がみられた。期間中最も日積算光量子束密度が高いを対象とし、光飽和点を超える光を各測定個所における過剰光とすると、日中の過剰光の最大頻度は60%となった。このときの過剰光を含む光量子束密度の積算値は37molm^<-2>day^<-1>であり、日積算光量子束密度に対する割合は93%であった。また、日積算光量子束密度が5molm^<-2>day^<-1>より低い6か所では光飽和点を超える光量子束密度は観測されず、他の2か所でも過剰光の日中頻度は4%以下であった。期間中最も日積算光量子束密度が低い日を対象とした場合、日積算光量子束密度が9molm^<-2>day^<-1>より低い13か所ではいずれも光飽和点を超える光量子束密度は観測されなかった。過剰光が観測された5か所のうち日中の過剰光の最大頻度は21%であり、日積算光量子束密度に対する割合は46%であった。
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