本研究では、家畜糞尿を用いた家庭用バイオガス発生装置の導入が、ネパール丘陵地域における世帯単位の薪炭材利用量、薪炭材の収集時間、煮炊きに費やす時間、農業に費やす時間、農産物の収穫量、農業からの現金収入を増加に導いている可能性が示唆された。また、バイオガス装置を導入した世帯は、非導入世帯よりも森林管理グループの基本的情報に精通していたことから、同装置の導入が森林管理に対する意識にも影響を与えている可能性が示唆された。さらに、バイオガス装置の導入効果を最大限に高めるためには、単なる便利な装置の導入という位置付けではなく、農村開発や森林保全などのアプローチの一環として普及させることが望ましいと考えられる。
|