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2010 年度 実績報告書

断片化した熱帯林におけるフタバガキ雑種稚樹の生育環境と環境順応特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21780155
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

田中 憲蔵  独立行政法人森林総合研究所, 国際連携推進拠点, 主任研究員 (30414486)

キーワードフタバガキ科 / 光合成 / LMA / 窒素利用効率 / 雑種 / Shorea属 / 熱帯林断片化 / 劣化
研究概要

フタバガキ科Shorea属の雑種稚樹の葉の形態特性を明らかにするために、雑種稚樹と両親種の葉の生理生態特性を比較検討した。対象とする稚樹のDNA解析により、Shorea leprosula×S.curtisii間の雑種を確認し、調査した。また、両親種のS.leprosulaとS.curtisii稚樹も対象とした。調査は各種5個体を用い、飽和光合成速度、最大電子伝達速度、窒素濃度などを測定した。
葉の飽和光合成速度はS.leprosulaで最も高く、雑種、S.curtisiiの順に低くなった。蒸散速度、気孔コンダクタンスや葉内窒素濃度もS.leprosulaで高く、雑種、S.curtisiiの順に低くなった。一方、葉の水利用効率はS.curtisiiで高く、S.leprosulaに比べ、約2倍の値を示した。葉の厚さの指標となるLMAはS.curtisiiで高く、厚い葉を持つことが分かった。また、雑種個体の水利用効率やLMAなどの特性も、両親種のほぼ中間的な値を示した。両親種の生態特性として、S.leprosulaは、谷筋など斜面下部に分布し成長速度が速いが、S.curtisiiは尾根部を中心に分布し、比較的成長速度が遅いことが知られている。S.leprosulaは光合成速度が大きく、高い成長速度の一因になっていると考えられた。また高い葉内窒素濃度が高い光合成速度の維持に貢献していると考えられた。一方、S.curtisiiは、S.leprosulaや雑種個体に比べ、葉の水利用効率が高く、厚い葉を持つため、尾根部の乾燥した環境に有利であると考えられた。雑種個体の光合成能力や水利用効率などの特性は、両親種とほぼ中間的な特徴を持っていたことから、生育適地や生態特性も両親種とほぼ中間的な位置にあると考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Changes in above- and belowground biomass in early successional tropical secondary forests after shifting cultivation in Sarawak, Malaysia2010

    • 著者名/発表者名
      Kenzo Tanaka, et al.
    • 雑誌名

      Forest Ecology and Management

      巻: 260 ページ: 875-882

    • 査読あり
  • [学会発表] シンガポールの断片化された熱帯林におけるフタバガキ雑種稚樹の分布2011

    • 著者名/発表者名
      田中憲蔵、米田令仁、佐野真琴、上谷浩一、名波哲、Shawn Lum、則近由貴、市栄智明
    • 学会等名
      日本森林学会第122回大会
    • 発表場所
      (学術講演集による発表)
    • 年月日
      2011-03-28
  • [学会発表] シンガポール断片化林におけるフタバガキ科雑種苗の光合成特性2010

    • 著者名/発表者名
      田中憲蔵、市栄智明、上谷浩一、Shawn Lum
    • 学会等名
      第20回日本熱帯生態学会大会
    • 発表場所
      広島大学(東広島市)
    • 年月日
      2010-06-19

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公開日: 2012-07-19  

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