1.候補遺伝子群の分子マーカー化 3'-RACEにより得られた、07RISI291(β-1-3glucanase)、07RISI437(PR-1)、07SIRI130(embrio avandant protein)の3遺伝子の塩基配列から作成したコンティグを比較し、5'側プライマーを比較的保存性の高い領域に、3'側をきわめて変異性の高い3'端付近の領域に設定した。これらのプライマーを用いて、種子から取りだした雌性配偶体(針葉樹では母親由来の半数体となる)DNAをPCR増幅し、シングルバンドとなったものについて、塩基配列を決定した。半数体ゲノムを用いているので、シングルジーンがうまく増幅されていれば、ヘテロ型の塩基配列データは出現しないはずである。今回塩基配列を決定した8領域のうち、3領域がシングルジーンと考えられた。これらの領域について、複数個体の雌性配偶体の塩基配列を調べたところ、SNPが検出された。これをマーカーとすることにより、これら遺伝子の連鎖地図上へのマッピングが可能となる。 2.生体防御関連遺伝子群のeQTL解析 生体防御機構に関するESTの発現解析を、連鎖解析を行った家系から採取したRNAサンプルを用いて行い、eQTL解析を試みた。RNAサンプルが得られた個体が少なかったため、追試が必要であるが、キチナーゼ、PR4、ソーマチンライクプロテインの3ESTについて、eQTLが検出された。これと、マツノザイセンチュウ接種後の病兆に関するQTLを比較したところ、キチナーゼで検出されたeQTLおよびPR4で検出されたものの1つが、同一の連鎖群に検出された。このことは、マツノザイセンチュウ接種後に起こった複数の反応を調節する因子が同一領域にあり、抵抗性に関与していることを示唆するものと考えられる。
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