ササは森林のダイナミクスに逐一対応し群落構造を変化させながら林床で優占していると考えられる。したがって林床の資源の分布構造はどのようなパターンで時間的・空間的に変化しているのか。この不均一な資源分布に応答してどのようにササ個体は形態的に変化するかを明らかにする。このため3つの研究項目を同時に行い、それぞれの関係性を分析する。 1)資源量を空間的に多点測定し、この時間変化を明らかにする。 22年度は光量多点測定の基となる光量子センサーによる長期測定を複数プロットに設置し、継続測定によりデータが蓄積されつつある。 2)クローナルフラグメントの分布構造と地下茎・稈の動態を明らかにする。 サンプル個体数は増えていないが、十和田の1995年一斉開花地プロットでは昨年度掘って繋がりを明らかにした個体を埋め戻している。今後も成育が観察できるようにしてある。 3)林分レベルの個体群の空間分布構造とその動態。 一斉開花から30年経過した青森県八甲田山には1m^2のプロットが10個設置されている。これらのクローン識別およびクローン動態に関するデータが解析され、蓄積されている。 今後は蓄積されてきたデータを基に論文化にも力を入れていく予定である。今年度は得られているデータの論文化に向けた打ち合わせ会議も数回行った。学会発表も行った。
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