研究概要 |
山城試験地(京都府木津川市)のソヨゴ林とコナラ林の土壌間において,BRSP含有率、炭素含有率、窒素含有率、CN比、細根量を比較し、さらにBRSP量とその他のパラメータ間の相関係数を求めた。最表層(0-10cm)は、BRSP含有率に含まれる腐植の量が他の層に比べて非常に大きいことが危惧されるため、これを除いて検定した結果、CN比以外のパラメータでソヨゴ林土壌はコナラ林土壌よりも有意に高かった。具体的には、BRSP含有率、炭素含有率、窒素含有率はソヨゴ林ではコナラ林の約2倍、細根量はソヨゴ林土壌はコナラ林土壌の約1.2倍であった。また両林分土壌で、BRSP含有率は炭素含有率、窒素含有率と強い正相関が認められた。細根量、CN比もBRSPとの間に正相関が認められた。これらの結果は、1)BRSPが必ずしもアーバスキュラー菌根菌のみが作り出すグロマリンを反映しているわけではなく腐植が少なからずあること、あるいは2)近年になって裸地から森林が発達した若い林であっても、裸地化以前の植生がアーバスキュラー菌根菌との共生樹種であった場合、その植生の時代に形成されたグロマリンが、難分解性であるために残存している、という2つの可能性を示すものと考えられる。BRSP含有率と炭素含有率や窒素含有率との強い相関は、BRSPが腐植の影響を受けているとともに、たんぱく質を示す指標であることとも関係していると推察される。林齢がほぼ同じであるのにBRSP、炭素、窒素の各含有率がソヨゴ林土壌でコナラ林土壌の2倍あった結果は、グロマリンが±壌有機物の蓄積を底上げしているものと推察される。
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