研究概要 |
好酸性カテキン分解細菌Burkholderia oxyphila OX-01株の16SrDNA配列及び炭素源資化性試験、脂肪酸組成解析等の結果からこの細菌が新種であることが強く示唆されたため、近縁種とのDNA-DNAハイブリダイゼーション比較を行ったところ新種であることが明らかとなったため、International Journal of Systematic and Evolutional Microbiology誌に論文を投稿し掲載され、新種提唱を行った。また、OX-01株のゲノムに一カ所変異を導入することによってカテキン資化能を失った変異体12株の変異導入部位を全て決定した。その結果、OX-01株のカテキン資化能に必要な遺伝子機能として、6種の遺伝子が見いだされた。相同性検索の結果、これら7つの遺伝子はそれぞれ、phosphoenolpyruvate syntase, LysR type transcriptional regulator, phosphoglycerate kinase, exporter protein, homocysteine hydrolase, gamma-glutamyl kinaseであった。このうちLysR type transcriptional regulatorを欠損した変異株においてはそれによって発現が制御されるオペロンの遺伝子配列をさらに精査した。その結果カテキン分解代謝経路をコードしていることが強く示唆される機能遺伝子がいくつか認められた。今後この代謝経路を詳細に解析し、カテキンからプロトカテキュ酸までの変換遺伝子を明らかに出来れば、カテキンからポリマー原料であるPDCへの変換に関わる全ての代謝遺伝子が獲得でき、未利用バイオマスであるタンニンからポリマー原料生産発酵システムの設計が可能となると考えられる。
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