研究概要 |
夏季の西部北太平洋(158°E線に沿った3定点[39°N,41°N,44°N])においてMOCNESSによる大型動物プランクトンの昼夜の定量採集を行い、特に端脚類とオキアミ類の日周鉛直移動について明らかにし、またそれに伴う能動輸送量の推定を行い、当海域の物質循環における大型動物プランクトンの寄与を明らかにした。 端脚類は17属25種が出現し、バイオマスは昼間は26-110mg DMm^<-2>、夜間は18-1178mg DMm^<-2>の範囲で変化していた。亜熱帯域では暖水性種であるPhronima属が昼夜の個体数、バイオマス共に優占していた。移行領域では昼間はThemisto pacificaが個体数、バイオマス共に優占していたが、夜間にはCyphocaris challengeriとVibilia gibbosaがバイオマスの大半を占めており、顕著な日周鉛直移動を行っていた。 オキアミ類は7属19種が出現し、バイオマスは昼間は18-176mg DMm^<-2>、夜間は437-1562mg DMm^<-2>の範囲で変化し、いずれの定点でも夜間のバイオマスの増加が顕著であり、0-40m層に明瞭なピークが見られた。夜間のバイオマスの多い層では、Euphausia属とThysanoessa属がその占有率のほとんどを占めていた。 本研究で推定された夜間表層での摂餌量は9.10-30.63mg Cm^<-2> day^<-1>、呼吸量は4.20-18.53mg Cm^<-2> day^<-1>であった。この大型動物プランクトンの摂餌量は一次生産量の4-13%に相当した。深層での呼吸量は沈降粒子フラックス量の3-14%に相当しており、当海域の物質循環における大型動物プランクトンの能動輸送の寄与の大きさが示された。
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