研究課題
2006年6月14-16日にかけて南部ベーリング海および北部北太平洋の各1定点にて、目合い60μmのVMPSによる水深0-3000mを15層に分けた鉛直区分採集を行い、カイアシ類の出現個体数、バイオマスおよび群集構造を明らかにし、摂餌量と排泄量を推定した。カイアシ類の出現個体数およびバイオマスは深度増加に伴って減少し、両者と深度の関係は両対数式によって表せた。全水柱を通してカラヌス目カイアシ類は、15科34属72種(ベーリング海)または13科32属63種(北部北太平洋)が出現した。両定点のカイアシ類群集はクラスター解析によって5群集に区分され、各群集の分布は鉛直的に明確に分かれていた。水深500-1500mには酸素極小層(OML)に適応した群集が見られ、OMLではカイアシ類死骸の個体数が生体よりも多かった。両海域は世界の全海洋の中でOMLが最も発達する海域であるため、低溶存酸素に適応した群集が出現し、OMLでは捕食者が少ないため、カイアシ類の死骸が摂餌・除去されずに増加したと考えられる。両海域の全水柱を通してカイアシ類は沈降有機炭素輸送量(POC flux)の20±13%(平均±標準偏差)(ベーリング海)または32±19%(北部北太平洋)を消費すると推定された。POC fluxの行方として、カイアシ類による摂餌、バクテリアによる分解および直接沈降の3つが考えられる。両海域とも、0-100皿ではカイアシ類による摂餌の影響が大きく、100-1000mではバクテリアによる分解、1000-3000mでは直接沈降が多いことが明らかになった。水深1000-3000mにおいて直接沈降するPOC fluxの割合が増加するのは、上層で生物による摂食が何回も行われた結果、POCの栄養分が少なくなったためと考えられる。
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