平成21年度は、プロバイオティクス菌の標識化を行った。標識を行うプロバイオティクス菌として、アワビ消化管から分離したVibrio halioticoli近縁種BL7a株を用いた。本菌を用いてDNAプローブの作製およびコロニーハイブリダイゼーションによる特異検出条件の設定を行った。特異検出法の確立および安定性をはかるために、4~11月の8ヶ月間、毎月メガイアワビ消化管内生菌数およびV. halioticoli生菌数の定量を行い、変動を調べた。さらに、生菌数計測で用いた平板培地からランダムに30コロニーを分離、16S rRNA遺伝子系統解析を行い細菌叢の把握を行った。BL7a株を用い作製したDNAプローブは、プローブ濃度200μl/ml、反応温度60℃、反応時間12時間でハイブリダイゼーションを行うことでV. halioticoliが特異的に検出できた。特異検出法を用いたモニタリングでは、V. halioticoliが毎月検出され、V. halioticoli生菌数とプローブ検出数の相関性が伺えた。来年度以降は本法を用いて消化管に定着する本菌数を確認し、その局在部位や、生態についての知見を得る予定である。さらに代謝学的観点から、プロバイオティクス菌が産生する有機酸等の網羅解析を行う予定である。
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