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2009 年度 実績報告書

干潟の季節性により支えられる浅海域の高次生産

研究課題

研究課題/領域番号 21780179
研究機関佐賀大学

研究代表者

吉野 健児  佐賀大学, 有明海総合研究プロジェクト, 准教授 (40380290)

キーワード安定同位体 / 底性微細藻類 / 干潟
研究概要

干潟にはそこに生息する生物が海域で生産された水柱の有機物を除去することによる水質浄化機能があるとされる。一方、干潟では底性微細藻類が一次生産者として干潟生態系を支えており、その生産物が隣接海域へ流出し、そこでの生産性にも寄与するという、エネルギー供給機能もありうる。しかしこの機能はあまり注目されてこなかった。また、そうした機能が干潟生態系の季節性により変動する可能性があることに着目した研究例も皆無であった。本研究は有明海軟泥干潟とその浅海域をモデルとしてとらえ、安定同位体を用いてこのことを検証することが主要な目的である。今年度は夏期、秋期、冬期の3シーズンで干潟域と浅海域を横断する測線でベントス、底泥、水柱の懸濁物(POM)を採取し、そのうち夏期、秋期のサンプルの同位体分析を行った。結果、夏期のPOMの炭素同位体比は-20.4±0.17‰(mean±SD)であり、底性微細藻類の代表として干潟で採取した表層泥の炭素同位体比は-20.0±0.15‰でPOMと区別できなかった。主要な濾過食ベントスの炭素同位体比は-17~-18‰であった。表層泥の炭素同位体比では正確な底性藻類の同位体比を反映していない可能性があったため、秋期には干潟で底性藻類を摂餌していると思われるタマキビ類の同位体比から推定を試みた。秋期のPOMの炭素同位体比は-22.3±0.12‰であり、タマキビ類から推定した底性微細藻類の炭素同位体比は-16.1士0.56‰となった。秋期の濾過食ベントスの同位体比は-16.7~-17.8‰であり、底性藻類の寄与がきわめて高いことがわかった。10月時点での干潟上でのグレーザーの活動は以前高く、季節に関係なく、干潟のエネルギー供給機能は高いのかもしれない。今後は冬期、春期の調査、分析も行い、定量的な寄与率の推定を進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The effect of ethanol fixation on stable isotope signatures in benthic organisms2010

    • 著者名/発表者名
      Kenji Yoshino, 他5名
    • 雑誌名

      Plankton, Benthos Research 5(印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] 有明海湾奥部海域のベントス群集における安定同位体解析2009

    • 著者名/発表者名
      吉野健児, ほか3名
    • 学会等名
      2009年度日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会
    • 発表場所
      函館
    • 年月日
      2009-11-17

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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