研究概要 |
本研究はゼブラフィッシュの仔魚をモデルとして孵化仔魚における特定波長光の成長への効果を検討すること、ならびに光環境に対する食欲中枢の応答メカニズムを解明することを目的とした。 1)特定波長光の成長への効果 孵化仔魚に受精後4日目から8日目まで極大波長476nm、530nm、および590nmのLED光を1日13時間照射した。コントロール群には蛍光灯光を照射した。その結果、476nm光群の成長は590nm光群およびコントロール群と同等で530nm光群より有意に高いことが判明した。476nm光群が530nm光群よりも高成長だったことは昨年度の照射実験における結果と同様であり、476nm光に比べて530nm光に成長抑制効果があることが確認された。 2)特定波長光によって発現が変動する遺伝子の網羅的抽出 上記の仔魚の頭部から全RNAを抽出し、転写産物量が異なる遺伝子をマイクロアレイによって網羅的に抽出した。転写産物シグナルが検出された遺伝子38,956個のうち、476nm、530nm、および590m光群間で転写産物シグナルに2倍以上の違いがあり、かつ転写産物シグナルが十分大きい(>0.1)遺伝子は合わせて445遺伝子に上った。これらのうち、ホルモンあるいはその受容体遺伝子をコードする遺伝子は14個であった。その中には硬骨魚類において体色変化と摂食調節に関わるメラニン凝集ホルモンの遺伝子mch1も含まれていた。また代謝に関わる遺伝子は26個、転写に関わる遺伝子は20個であった。今回のマイクロアレイによって得られた遺伝子情報は特定波長光の成長への影響の分子メカニズムを明らかにする上で重要である。
|