研究課題/領域番号 |
21780184
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
千葉 晋 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (00385501)
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キーワード | 進化 / 水産学 / 生態学 / 動物 / 農林水産物 |
研究概要 |
本研究の目的は、複数のホッカイエビ個体群を対象として漁獲に起因した非適応進化を証明し、本種の資源減少との関係を明確にすることである。本研究は大きく、野外データ解析と飼育観察の2項目から構成されている。本年度の野外データ解析では、昨年度までに整理したホッカイエビ個体群データを基に、重要な生活史形質のひとつとして繁殖形質に焦点を絞り比較を行った。その結果、物理環境は似ているものの漁獲史が異なる個体群間で、遺伝的な要因によると思われる形質差を発見した。漁獲史の長い個体群で産出される卵体積は、漁獲史の短い個体群のものよりも小型であり、卵の小型化は雌の体サイズの小型化に起因していることが推察された。ただし、この差が真に漁獲史に起因するものであるかどうかについてはまだ検証中である。また、本種は成長に応じて雄から雌へ性転換するが、ある個体群では漁獲圧に応じて可塑的に性転換のタイミングを変えられることも明確になり、これは漁業によって大型の雌が選択的に除去された場合、雌不足を補償するかのように、小型の雌が出現することを意味している。この可塑的な生活史変異と、昨年までに示唆されている遺伝的な生活史変異の関係解明については、次年度の課題として残った。本研究の飼育観察では、実験室内の均一環境下で各個体群から得られた実験室世代の個体の量的形質の比較を目的としている。本年度は夏の高水温により、昨年度まで飼育してきた個体の多くを死亡させてしまったが、現在残っている個体を用いれば研究計画の遂行に支障はないはずなので、計画通り飼育を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の一部として必要である飼育個体が想定以上に死亡してしまったものの、これは当初の計画を変更するには及ばない問題であり、ほぼ予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の到達目標に達すると考えられるため、今後も当初の計画に即した形で研究を進行する予定である。
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