1. cDNAクローンライブラリーおよび発現解析系の構築 グッピー雌成魚から腎臓組織を採取し、抽出したmRNAを用いて、定法に従いcDNAライブラリーを構築した。次に得られた1000クローンを用いてEST解析を行い、複数の魚類の主要生体防御因子の部分または全塩基配列を決定した。無菌飼育が稚仔魚の生体防御能に及ぼす影響について解析する実験系を得るため、明らかにした配列情報を基に、膜型および分泌型IgM、溶菌酵素であるCおよび2種類のG型リゾチーム、細胞性免疫に関与すると推定されるサイトカインであるIL-1、IL-2、およびCCケモカインに対する特異的プライマーを構築し、RT-PCR法により稚仔魚期の発現解析を行ったところ、親魚から産出してから数日の間に、G型リゾチームやサイトカインIL-1の発現が著しく増加する事が確認された。 2. 腸内細菌の分離同定 グッピー由来の腸内細菌株を得るため、産出1週間後の稚仔魚また成魚から腸管組織を無菌的に採取し、マセレイトしたものをPYBGFまたは1/20PYBGF平板培地に接種した。好気的条件下で72時間培養し、発育したコロニー100菌株を純粋培養後、16S rRNA領域の5'側領域約500bpを決定して系統解析を行ったところ、主にAeromonas、Pseudomonas、およびAcinetobacter属の細菌グループであった。得られた細菌株は最終年度に予定している投与実験に使用するため、凍結保存を行った。
|